もし、あなたのチームに世界トップクラスの監督がやってきたら?
2006年夏、日本サッカー界に一人の男がやってきました。
その名はイビチャ・オシム。ユーゴスラビア代表を率いてW杯4位に輝いた、知る人ぞ知る世界的名将です。日本代表の監督に就任したとき、日本中が注目しました。
「このおじいちゃん、何者?」
でも練習を見た選手たちは、最初の日から度肝を抜かれました。
練習場を走り回りながら、矢継ぎ早に指示を出す選手たち。でもオシムは首を横に振るばかり。
「なぜ自分で考えないのか」
この一言が、すべての始まりでした。
「なぜ日本のサッカーは強くなれないのか?」——オシムの答えは意外だった
サッカーが弱い理由を、みなさんはどう思いますか?
「フィジカルが弱い」「技術が足りない」「お金がない」——よく言われる話ですね。
でもオシムの答えは、まったく違いました。
「日本人の生き方そのものに問題がある」
え?サッカーじゃなくて、生き方?
そうなんです。
この本『考えよ!』は、サッカーの戦術書ではありません。サッカーという鏡を使って、日本社会の深いところにある課題をあぶり出した、まるで人生哲学書のような一冊なのです。
安全・安心・おまかせ——それが落とし穴だった
少し考えてみてください。
あなたは今日、自分から「やります!」と手を挙げましたか?
何かに失敗したとき、「自分が悪かった」と責任を取りましたか?
誰かがやってくれるだろう——そう思って、待ってしまったことはありませんか?
オシムはこう言います。
日本は素晴らしい国だ、と。安全で、清潔で、コンビニは24時間開いていて、電車は時刻通りに来る。でも、だからこそ人は「ぬるま湯」に浸かってしまう、と。
サッカーの試合は、まさに逆の世界です。
誰も助けてくれません。ボールが来たとき、0.5秒以内に「パスか、ドリブルか、シュートか」を自分で決めなければいけない。そこで「えーと…監督に聞いてから…」などとやっていたら、ボールを奪われておしまいです。
「走りながら考える」——これがオシムの口癖でした。止まってから考えるのではなく、動きながら頭を回す。これこそが、試合でも人生でも必要な力なのだと。
「安全パイ」を選び続けると、何も変わらない
ここがこの本の一番大事な部分です。
サッカーで得点を取るには、どこかでリスクを取らなければいけません。守ってばかりでは0対0。引き分けが精一杯です。
「ここだ!」という瞬間に、思い切って飛び出す。パスを出す。シュートを打つ。失敗するかもしれない。でも、やらなければ絶対に得点はない。
これはビジネスでも、勉強でも、人間関係でも、まったく同じではないでしょうか。
起業した人は全員、失敗するリスクを背負って一歩踏み出した人たちです。告白した人は全員、振られるリスクを覚悟した人たちです。新しいことを学んだ人は全員、「わからない」という恥ずかしさをのり越えた人たちです。
オシムはこう言いたかったのでしょう。
「リスクを取る勇気のない者に、勝利はやってこない」
でも、むやみに突っ込むだけでもダメ——「考える」ことが大前提
ここで誤解してほしくないのですが、オシムは「とにかく突撃しろ」とは言っていません。
「考えよ!」というタイトルが示す通り、頭を使いながら動くことが大切だと説いています。
サッカーで言えば、前のスペースに誰がいて、相手の守備ラインはどこにあって、自分はどこに動けば味方が使いやすくなるか——これを走りながら瞬時に計算する。
人生で言えば、目的地はどこで、今何が一番大事で、自分が動くことで周りがどう変わるか——立ち止まらずに考え続ける。
止まって考える人より、動きながら考える人の方が、圧倒的に多くのことを経験し、速く成長する。オシムはそれを、70年以上の人生と40年以上の指導者経験から確信していたのです。
この本を読んだら、明日から何かが変わるかもしれない
『考えよ!』は、サッカーを知らなくても楽しめる本です。
むしろ、サッカーにまったく興味のない人こそ読んでほしい。なぜなら、書かれていることの9割は、私たちの日常生活にそのまま当てはまるからです。
「会議で自分の意見を言えない」 「新しい仕事を任されるのが怖い」 「失敗したくなくて、何もしないでいる」
こういう思いを持ったことがある人は、ぜひ手に取ってみてください。
オシムの言葉は、難しい言葉ではありません。でも、読んだ後には不思議とエネルギーが湧いてくる。そんな一冊です。
まとめ——オシムが伝えた3つのこと
① 走りながら考える 止まってから考えるのでは遅すぎる。動きながら頭を使う習慣を。
② リスクを取る勇気を持つ 安全な選択ばかりでは何も変わらない。ここぞという場面では思い切って踏み出す。
③ 自分で考え、自分で決める 誰かの指示を待つのではなく、自分の頭で判断する力を育てる。
この3つは、サッカーの話であって、サッカーの話ではありません。あなたの人生そのものへのメッセージです。
さあ、あなたも「考えよ!」——



